先日、千野栄一先生の英語上達法について書きましたが、大切なことがまだ紹介できていませんでした。
⇒ 初心者や挫折してしまった人に知って欲しい英語上達法
⇒ 英語上達法 ~つづき~ 単語と文法を覚えるのに必要なもの
今日は、どうしたら英会話が上手になるか?についてです。

英会話が上手になるために大切なこと
単語、熟語・イディオム、文法、発音
英会話が上手になるためには、単語、熟語・イディオム、文法、発音を知っていることが大前提です。
そして、その知識をまとめて自分の言いたいことを状況に応じて言えること、相手が言っていることを正しく理解すること、これらができて「英会話が上手」だと言えるのです。
千野栄一先生は、外国語上達法 (岩波新書)の中で次のように言っています。
一つのまとまりのある文は、必ずいろいろな条件に定められたイントネーションのパターンを持つ。上手に話すためには、このパターンをしっかりと身につけておかなければならない。これがうまくいかないと、一つ一つの語がいかに上手に発音されても、ロボットの会話のようになってしまう。
―中略―
そしてさらに、文と文とのあいだの関係もまた大切である。それぞれの文がいかに正しく発音されても、その二つの文のあいだの間(ま)や、文体や、意味の関係がおかしいと上手な会話にはならない。
音声の分野ですが、これはネイティブの発音をとことん聞くしかありません。ネイティブが読んだ全体としてまとまっている文を聞いて、音声をまねる。シャドーイングや音読を繰り返すと、自分の筋肉になっていきます。自転車にだんだん乗れるようになっていく感覚に近いかもしれません。(大昔のことだけど)
日本人の英語はどうしても平坦になりがちなので、大袈裟かな?と思うくらいイントネーションをつけてちょうどいいくらいです。最初はこっぱずかしいんですが、誰も気にしちゃいませんから!笑
話す内容
―前略― (日本人の英会話は)日本の英会話学校で習う限り、ごく一部の例外を除いて英語で若干の文を交換するという程度で、会話集の中にあげられている句の繰り返し以外の何物でもない。会話というものは自分が相手の人に伝えたいことを伝え、相手の人が伝えたいと思っていることを聞くことであって、自分がたまたまその外国語で知っている句を使ってみることではない。
これについては、私も普段から同じように思っています。英会話の本や英会話スクールで、「〇〇のときは~と言う」式の定型文を覚えていくだけでは、英会話ができるとは言えません。
定型文を覚えることは、英会話の勉強のとっかかりとして大切ですが、すべてではありません。
まずは、「話す内容あってこそ」です。
私も以前経験があるのですが、たとえば「死刑制度について」どう思うか、と聞かれたとき。私は今まで死刑制度について考えたことがなかったので、自分の考えというものがまったくなかった。英語力以前に、伝えたい内容がないことに困ってしまいました。
このときだけではありません。日本文化や習慣について、異文化について、倫理的な問題、社会問題などなど、いろいろありますが、私は自分の意見は何も持っていなかったのです。(お恥ずかしい話ですが)
それに対して、私が海外で出会った人たちは、年齢に関係なくみんな自分の意見を持っていました(日本人除く)。日本人は学校教育のせいなのか、自分の意見を持っていない人がほとんどでしたね。やっぱり、日頃から何かに興味を持って自分なりに考えることが大切で、英語はあくまで伝えるツールなんだとつくづく感じました。
でも、「何のために英会話を習うか」によってこれは違うのかもしれません。
海外旅行に行ってレストランでの食事やショッピングで困らないために、という人もいるでしょうし、日本で外国からのお客さんに対して案内業務をするため、とか、仕事上どうしても英語で話さないといけない、など、目的は人によってさまざまです。
レストランとかホテル、お店など、業務上の必要最低限のことを伝えるための英会話なら、定型文プラスαだけで足りるでしょうね。
会話の本質
最後に、『外国語上達法』から会話の本質について。
外国語と日本語を置き換えてみれば明白だが、あの人は単語を知っているからとか、気の利いた表現をするからといって会話をするのではない。会話をすることによって新しいことを知り、考えさせられ、喜びを得るからこそ話をするわけで、ここまで来れば、もう外国語でする会話と日本語でする会話との間には何らの差もないのである。
私は、表現やことばのチョイスが面白い人は好きですが、確かにそれだけじゃ会話は続きません。私自身も豊富な話題を提供できる人でありたいものです。
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